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パスタのアルデンテ『まずい』『硬い』|嫌い派が多いという事実

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お皿に盛られたパスタ

 

パスタに限らず、リゾットやピザにも用いられる言葉『アルデンテ

最近では『アルデンテ女子』という言葉もあるとかないとかで、どことなく『丁度良い』『ハリがあって良い』といった感じの表現として使われます。

 

ですが、実を言うとアルデンテとは=美味しい茹で加減ではありません。

 

ここでは、『アルデンテってまずいよね』『嫌いなんだけど』という意見を見つつ、『本来のアルデンテ』とは?について書いたコラム記事です。

 

『う~ん、アルデンテ』なんて通ぶっていると、恥ずかしいかもしれませんよ…

『嫌い』『硬い』アルデンテがまずいという意見をまとめてみる

ネットで『アルデンテ 嫌い』『アルデンテ まずい』と検索してみれば、出るわ出るわアンチアルデンテ派の意見。

まずはそこからピックアップしていきましょう。

 

日本のイタリアンでは固い芯の残ったアルデンテがもてはやされていますが、本当に美味しいと思って食べていますか?私は硬くて嫌いです

正直、アルデンテは、固くて苦手です。家では柔らかいのが好みです。
イタリアン好きの皆さんごめんなさい

アルデンテって、変。私はスパゲティ好きですが、芯の残ったアルデンテは、なんだか食べにくいし、特においしくないと思います

「あそこのお店はどれもちゃんとアルデンテだからおいしいの」
アホか、パスタ全部アルデンテで出してる店はただ茹でるの下手なだけ

引用:知恵袋

 

とまぁ、このように、アルデンテ嫌いの方は多く、理由としては当たり前に『硬い』『芯が…』『食べにくい』というものです。

 

それもそのはず。

アルデンテとは『丁度良い茹で加減』ではなく、『失敗作』だから。

失敗作がマズイのは当然のことです。

アルデンテは本当に美味しいの|誤解・勘違いだらけの日本人?

そもそも本来の『アルデンテ』とはどんな状態の事を指すのでしょうか?

アルデンテ信者はもちろん、実は先ほどの「アンチアルデンテ」の中でも、この部分を勘違いしている方がいらっしゃいます。

 

『アルデンテは芯が残ってるから嫌い』という意見です。

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嘘と間違いに注意|アルデンテの意味

正確に言えば、アルデンテ=芯が髪の毛ほどの太さで残った状態なので正解と言えば正解です。

ですが、その状態で食卓に出てくるのは『失敗』としか言いようがありません。

アルデンテを『美味しい状態』とするのが間違いになります。

 

と言うのも、アルデンテと『美味しい柔らかさ』というのは違っていて、アルデンテの時点ではただ単に硬い麺でしかありません。

なぜアルデンテで茹で上げるのかと言うと、これは『食卓に出すまでに火が通るであろう』計算ありきなんですね。

本来はパスタによって切り替えるべき

麺は種類、料理によって茹で加減が違います。濃厚なこってりソースには柔らかくしっかり茹でた麺が合うし、火が通るまでの時間だってどんなパスタかによって違います。

 

同様にこんな書込みもありました。

 

そう、アルデンテで茹で上げるのは『食べるまでのタイムラグ』があってこそなので、例えば茹であがり→ソースを絡めてはい!みたいな秒速パスタだったら、そもそもタイムラグも生じませんのでしっかり茹でる必要があります。

また、サラダパスタやペンネも同様にアルデンテで茹でてしまうと食べにくくなったりもします。

 

それを一律でアルデンテ茹でにしてしまうというのは「雑」なんですね。

ある程度マニュアル化しなければいけないのも料理店なので、一律になるのも仕方ないとも言えますが…

アルデンテ好きは日本人だけ?

友人は、日本に来てから度々ゆで時間不足のパスタに遭遇して
「日本人は何故パスタをこんな状態で出すのか?」と半分怒っていました。友人はイタリア人だけど、イタリアでこんな硬いパスタは食べた事が無いそうです

 

『本場はアルデンテ』

『通はアルデンテ』

 

なんて声もちらほら聞こえるものですが、そういった方の言う『本場』ではアルデンテは出て来ないようです。

 

揶揄するつもりは毛頭ありませんが、日本ってどうしてこう、間違った欧米文化、西洋文化を崇拝しがちなのでしょうか。

ハロウィン然り、クリスマス然り…

あぁでも、外国でも不思議なお寿司とかありますから、どっちもどっちなんでしょうかね。

地域によって違うパスタの好み

とはいえ、同じイタリアでもアルデンテ寄りな地域とそうでない地域があるようです。

北イタリアではしっかり茹でるのに対し、南側は固めを好む風習にあるんだそうですよ。

もちろん、家庭によって、人によって好みもありますから、傾向のお話です。

 

特に漁業が盛んな地域では漁師さんが気が早いからアルデンテ気味になる…という説もありますが、日本に限らず、海外でも漁師さんはせっかちなイメージなのでしょうか(笑

 

ですが、地域による違いこそあれど、地元民の中では『パスタ?んなもん好きなように茹でたらいいじゃん』という節が強く、日本のように『こうだからあの店はダメ』みたいな定義は存在しないようです。

日本でアルデンテが流行った理由

ではなぜ、日本だけでこれだけ声高に『アルデンテ最高!』『アルデンテ万歳!』『アルデンテになりたい!』『アルデンテと付き合いたい!』という風潮があるのでしょうか。

 

これには多くの説があります。

1・料理人の都合説

言わずもがな、アルデンテで茹で上げれば調理時間の短縮に繋がります。

忙しい都内の人気レストランなどでは、その僅かな茹で時間も節約したいとなり、お客さんに『本場はアルデンテ、固めなんです』とふれて回りました。

人気のレストランや本場で修行したシェフに言われれば『そうなんだ』と思うのが人情。

 

蓋を開けてみれば『言ったもの勝ち』というだけの事なのかも知れません。

2・イタメシブームの産物説

1980年代後半、バブルと共に日本では『イタ飯』『ティラミス』など、『なにやら洒落た食い物』ブームがありました。

 

それに便乗し、都心では銀座を中心にイタリアンレストランが湧いて出たわけですが、それまで日本でパスタと言えば喫茶店のナポリタンのような柔らかい麺が主流でした。

当時は本場イタリアのシェフもキッチンに入ったりして、そこからパスタの種類というものも増えました。

 

それまでの常識を覆せば人が群がるのは自明の理で、中でもとりわけ『アルデンテ』という言葉と硬さが目を引いていたのでは、という説です。

要するに、当時のイタリア人シェフがアルデンテ好きだっただけかもしれませんね。

日本でもそばやうどんは『のびていたらマズイ』という常識はありますので、「固めが美味しい」と言われれば納得するかもしれません。

 

『パスタ』という言葉が流行ったのも同時期ですし、世代的にも「アルデンテ」という言葉が好きなのがバブル世代な気もします…この説が1番近いかも。

関連:スパゲッティとパスタの違い

3・日本のパスタ=南イタリア説

先ほど、『北と南でも好みが違う』というお話をしましたが、日本のパスタは南イタリアのものを参考にされている節があるので、必然的に固めのパスタが主流になった、という説もあります。

 

確かに、魚介などを使うのも南イタリアですし、『シチリア』『ナポリ』というパスタを連想しそうなワードも南イタリアです。

 

そう考えるなら、『日本人、ちゃんと本場に合わせて作れてるじゃん』ともなりませんか?

【結論】結局は好み

パスタを茹でている

話がまとまらなくなってきたので終わりにしますが

 

●アルデンテ=出すタイミングじゃないからまずくて当たり前

●イタリアでも人それぞれ

●パスタによって分けようね

 

そんな感じです。

 

まぁ、アルデンテだから美味いとか、柔らかいからとかではなく、『本場では人の好みだよ』というのが正解でしょう。

日本で『お米は硬いのが正解』とか『柔らかいのがいいんだ』とか言っても不毛な争いです。

『好きなように食えよ』となります。

 

パスタについても、どっちが良いという議論はしない方が良いでしょうね。

そのうち、ラーメンみたいに『バリ硬』とか出てくるのではないでしょうか。